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長時間のトラック待機が常態化していた成田空港、「物流の2024年問題」対応で新システム

長時間のトラック待機が常態化していた成田空港、「物流の2024年問題」対応で新システム

空港でのトラックの長時間待機が課題だった

成田国際空港(NAA)は「物流の2024年問題」に対応するため、成田空港内で輸入貨物を引き取るトラック向けに「トラックドックマネジメントシステム」を11月に導入した。貨物上屋の混雑状況を可視化した上でトラック運転手が貨物の引き取り時間を予約し、特定の時間に引き取りが集中することを防ぐ。長いと5時間かかっていた待機時間を1時間以内に短縮できる見込みだ。

成田空港の2023年度の国際航空貨物量は184万トンで国内の航空貨物の3分の2を占め、国内の他空港と比べて荷待ち時間が長い傾向がある。特に休日明けとなる月曜日の夕方以降に引き取りが集中することで、上屋での長時間待機が常態化していた。4月のトラック運転手への時間外労働規制の適用開始を前に、千葉県トラック協会からは「このままでは成田空港での仕事を受けられなくなる」との声も上がっていた。

この問題に対し、NAAを事務局として同協会のほか上屋事業者、フォワーダー(利用運送事業者)、通関業者で構成する「2024年問題対策協議会」を2月に設立。各者の現状や課題を洗い出す中で、上屋事業者からは「引き取りの平準化が必要」、運送会社からは「貨物の引き取り可能時間が提示されず、運転手の判断に任せるしかない」などの指摘があった。

今回NAAが導入したシステムは、シーイーシーのバース予約管理システム「ロジプル」を通じて運転手が希望する引き取り時間をスマートフォンのアプリケーション上で1時間単位で予約する。予約枠には上限を設け、特定の時間帯に引き取りが集中することを防ぐ。トラック待機場のカメラで車両番号を自動認証し、車両到着を確認後、運転手のスマホに自動音声で通知する。

フォワーダーや通関事業者による貨物情報の入力、運送会社による引き取り車両と運転手情報の登録は既存の上屋事業者のシステムを活用する。NAA営業部門貨物営業部貨物営業グループの横塚雅史マネージャーは「既存システムと連携し、できるだけ従来の方法を踏襲することでトラック運転手の使いやすさに配慮した」と説明する。

当初は特に混雑する北部貨物地域のみを対象とするが、上屋事業者と協議し、南部貨物地域を含む貨物地区全体に拡大することを検討する。

ただ、物流業界の自助努力だけでは根本的な課題解決は難しい。今後は同協議会を通じて荷主企業への提言をまとめ、行政や経済団体などに提出する方針だ。

日刊工業新聞 2024年11月28日

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