「物流の2024年問題」解決なるか…大王製紙、自動運転トラック運用へ
大王製紙はT2(東京都千代田区)と連携し、2025年3月から自動運転トラックを活用した製品輸送の実証実験に乗り出す。関東―関西間の高速道路の一部区間を紙おむつなどの吸収体や家庭紙を積んだ自動運転トラックが走行する。「物流の2024年問題」により、輸送能力不足や物流費の上昇が社会課題になっている。自動運転トラックの運用により解決につなげたい考えだ。
大王製紙が自動運転トラックを使った製品輸送の実証実験に参画するのは初めて。日用品業界でも珍しい試みとなる。25年3月から始める実証実験では大王製紙が製造する紙おむつなどの吸収体や家庭紙を積んだT2の自動運転トラックが、関東―関西間の高速道路を走行する。具体的なスケジュールや走行区間などは今後詰める。
今回はドライバーが乗車した条件下で走行する「レベル2」の自動運転トラックを使う。大王製紙は荷主企業として、輸送に必要なオペレーションなどを検討・評価する。実証実験を通じ、諸課題を洗い出し、27年度には特定条件下で完全自動走行する「レベル4」による製品輸送の実現を目指す。
T2は三井物産とプリファードネットワークス(東京都千代田区)が出資し、22年に設立したベンチャー。大王製紙物流企画部の米谷泰一部長は「(T2との連携により)レベル4の自動運転トラックを実運用できれば、1日の輸送距離を伸ばすことが可能で、物流費などの削減につながる」と期待する。
物流の2024年問題によりドライバー不足が深刻化し、輸送能力不足や物流費の上昇が荷主企業を含めたサプライチェーン(供給網)全体の共通課題に挙がる。このため大王製紙は物流の効率化を経営課題の一つとして認識し、業界に先駆け異業種や同業と製品の共同輸送などを進めてきた。
具体的には22年にサントリーホールディングス(HD)と関東―関西間の鉄道によるコンテナの往復輸送や製品の混載によるトラック輸送を開始。23年には同業の日本製紙と連携し、千葉市の千葉中央港と大阪府の堺泉北港を結ぶ海上共同輸送を始めた。24年5月には業務提携した北越コーポレーションと新潟―中部地区間で輸送用トラックの相互活用を始めた。T2との実証もこうした活動の一環として行う。
大王製紙は25年度内にも全工場で吸収体や家庭紙の荷積み・荷下ろしにパレットを導入する計画も掲げる。物流の効率化に向けた取り組みを加速し、持続可能な物流体制の構築を目指す。