三井住友・みずほ・三菱UFJ…大手銀行が乗り出した、「リテール店」刷新の特徴
大手銀行がリテール(個人顧客)向け店舗の刷新に乗り出した。従来の駅前路面店から商業施設内に場所を移し、気軽に資産運用の相談に乗れる空間設計にしているのが特徴だ。ネット取引の普及に伴い、銀行の実店舗は従来の窓口サービスを提供する意義が薄れている。一方、個人の資産形成を助言する役割は重要性が高まっている。
三井住友銀行は銀行とカフェやシェアスペースが一体になった新店舗「Olive LOUNGE(オリーブラウンジ)」を全店の約1割に当たる30―40店舗に増やす。日常生活の中で気軽に立ち寄って過ごし、銀行サービスも受けられる場所がコンセプトだ。
銀行、カード、証券などの機能をアプリ上で組み合わせた金融サービス「Olive(オリーブ)」の操作方法やポイントの使い方を専門スタッフが案内する。同社は顧客の来店を増やすため全国約400以上の店舗の半数以上を商業施設などに入居する小型店舗に転換する。オリーブラウンジはこの戦略の一環だ。実店舗でオリーブに関する問い合わせに積極的に対応し、リアルとデジタルの両方の需要を取り込む。
みずほ銀行は個人顧客向けに資産形成・運用に関する相談サービスを提供する新型店舗「みずほのアトリエ」を開設する。2025年3月に神奈川県横須賀市内と横浜市内の商業施設にオープンする。新型店舗は25年度以降も順次開設する計画で、30年度をめどに70店舗を目指す。
みずほのアトリエは顧客が自由に将来を考え、気軽に相談できる体験を提供する。駅ナカやショッピングモールなどの建物内に立地し、立ち寄りやすい空間を演出する。平日夕方や土曜も営業する計画だ。
三菱UFJ銀行は25年度から本格的に商業施設などに新規出店する。24年度内に試行店舗で検証し、立地を含めて選定する。これまで統廃合などにより店舗を減らしてきたが、新たな店舗戦略を打ち出す構えだ。
【関連記事】 三井住友FGの知られざる稼ぎ頭