園芸ITサービス収益化に苦慮、注目スタートアップ破産の顛末
注目スタートアップとして経済誌にも取り上げられていたストロボライトは、10月30日に東京地裁から破産手続き開始決定を受けた。
同社は2012年に、広告代理業および販売促進関連業務を行うために設立された。14年には、庭や園芸、観葉植物に関する情報を発信するウェブサイトを立ち上げIT業界で豊富な経験を持つ代表のもと、デジタル技術を使った植物に関する課題解決ビジネスに着目し、主業を園芸ITサービスへシフトさせた。
15年には将来の上場を前提に第三者割当増資を実施し、ベンチャーキャピタルや個人投資家から出資を受けた。翌16年にも再度割当増資を実施し、17年には園芸フリーペーパーを創刊する中、庭や外構のリノベーションの企画から施工まで一貫して請け負う「MIDOLAS」事業も立ち上げていた。
この「MIDOLAS」を軌道に乗せたかった同社は、VCからの新たな出資により資金調達を実施。3回にわたり第三者割当増資を実施した結果、資本金は4億3771万7425円となっていた。
新規株式公開(IPO)に向け順調に業容を拡大させていたかに見えた同社だが、収益化には苦慮していた。20年6月期には年間売上高3億700万円を計上していた一方で、当期純損失は2億4380万円を計上。さらに、翌21年同期、22年期と収益の改善には至らず、2億円を超える赤字を計上し続けていた。こうした状況の中、以前であれば第三者割当増資による資金調達が可能だったが、コロナ禍以降VCからの追加出資がかなわず、金融機関から運転資金を調達していた。また、固定費圧縮のためリストラに着手。税制優遇を目的とした減資も実施し、資金繰りの改善に努めるなか、2023年9月には主力事業であったウェブメディア事業の売却を余儀なくされていた。
これらの施策は収益悪化と負債の増加を止めることはできず、24年3月に資金協力先から「これ以上の支援は困難」との最終回答がなされ、事業継続を断念した。(帝国データバンク情報統括部)