新領域の成長投資推進…6年ぶり交代、丸紅新社長の素顔
丸紅は27日、大本晶之常務執行役員(55)が2025年4月1日付で社長に昇格する人事を発表した。柿木真澄社長(67)は代表権のある会長に就き、同年6月の定時株主総会後に代表権が外れる。社長交代は6年ぶり。業績不振に陥った米国の穀物大手ガビロンの事業売却など構造改革にめどがつき、電力や金融・リースといった非資源分野を中心に安定的に収益を稼ぐ基盤が整ったと判断。経営の若返りを図って新規事業創出を推進し、企業価値向上を目指す。
大本氏は電力畑を歩んだのち19年に次世代事業開発本部の初代本部長に就任し、蓄電池やヘルスケアなど新領域への成長投資を推進した。社長就任に当たり「丸紅を次なる高みへとけん引する強い意思を持って、業務にまい進する」と述べた。柿木氏は大本氏を「覚悟を持って仕事に取り組み、会社を引っ張ることができる、若くて能力のある人間」と評価する。
大本氏は25年4月から始まる中期経営計画を今後策定し、次の成長ステージにつながる改革を推進する。
【略歴】大本 晶之(おおもと・まさゆき)氏 92年(平4)早大商卒、同年丸紅入社。06年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。07年丸紅再入社、20年執行役員、24年常務執行役員。愛媛県出身。
素顔/丸紅社長に就任する大本晶之(おおもと・まさゆき)氏 情熱あって行動起こせる社内では「人当たりの良さがある一方、仕事には情熱を持って取り組むバランスの良さがある」と評される。発電事業に長く携わる中で、上流の燃料事業も勉強するために液化天然ガス(LNG)部門への異動を自ら志願した。柿木真澄社長は大本次期社長を「ガッツがあって行動を起こせる人物だ」と語る。
好きな言葉は「ポテンシャル」。若手時代にはトルコで発電事業の立ち上げを託されて操業まで導いた経験がある。「自分のポテンシャルにかけてくれた上司に感謝しており、“為せば成る”がモットー」と明かす。
事業運営では、東南アジアなど経済成長が見込める地域に狙いを定めるが、「まずは社員や現場の事業会社と一体となって取り組む」と力を込める。
趣味は読書で司馬遼太郎を好む。休日には自分の部門が関わる生活関連ブランドの直営店を訪ね、「商品を手に取って店員との会話を楽しむ」。(編集委員・田中明夫)