コンタクトセンター業務3割効率化…みずほ銀行が導入、生成AIシステムの中身
みずほ銀行は顧客からの問い合わせなどに応じるコンタクトセンターに生成人工知能(AI)を活用したシステムを導入した。情報の一元化やペーパーレス化などを推進し、有人による応対業務の生産性を向上させる。通話時間を2割程度削減し、全体で3割程度の業務効率化につなげる考えだ。顧客対応をより高度化し、営業部店の支援やインターネットバンキングの満足度向上などにつなげる。
みずほ銀は国内4カ所のコンタクトセンターに新システムを導入した。従来は受架電、顧客情報、勘定系と機能ごとに分散していたシステムを集約し、並列的に処理できるようにした。横浜ダイレクトバンキングセンター(横浜市神奈川区)は今秋に本格的な運用を開始した。
同センターはみずほ銀の従業員約180人、委託先約670人の計850人が在籍し、同社コンタクトセンターで最大規模。顧客から電話やチャットでの問い合わせに応じている。
現場のオペレーターと顧客とのやり取りはすべて生成AIによって文字化し、パソコンの画面に表示する。例えば住所変更の手続きに対応する場合、オペレーターが新しい住所の文字情報をコピー・ペーストするだけで顧客情報システムに反映できる。
これまではあらためて紙の書類に記入するなどの作業が発生していたが、システムを一元化しているためパソコン画面上の操作ですべてが完結し、業務効率化を図れる。住所変更理由は結婚などのライフイベントに起因することも多く、イベントのケースに応じて生成AIが案内用の資料の提案する機能も備えた。
生成AIは顧客の音声のトーンなどから感情を察知することもできる。例えば怒っていると判断した場合は絵文字の顔が怒った表情に変化する。これらの情報はオペレーターだけでなく担当の管理者も画面で共有し、トラブルの際は迅速に駆けつける。音声のやり取りも文字情報で把握しているため、状況を理解しながら対応できるのも特徴だ。
日本IBMと日本語の生成AIで実績のあるPKSHA Technology(パークシャ・テクノロジー、東京都文京区)がシステムの開発と導入を手がけた。今後は入電量を予測して最適な人員配置を実現するほか、顧客の声を分析して商品やサービスの課題を抽出することで改善につなげるなど、生成AIの活用の幅を広げる方針だ。
みずほ銀はコンタクトセンターを対面によるコンサルティングと、アプリケーションやウェブといったデジタルをつなぐチャンネルに位置付けている。みずほ銀の佐藤健カスタマーリレーション推進部上席部長代理は「リアルとデジタルの結節点として重要な拠点。多様な情報が集まり、顧客にリーチできる」と話す。
運営の高度化を通じて顧客との関係を強化し、本部や支店の営業活動を下支えする。
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