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三井住友銀・みずほ銀・三菱UFJ銀…紙の手形・小切手取り扱い終了へ、地銀にも波及

3メガバンクは手形・小切手機能の電子化に伴い、紙の手形・小切手の取り扱いを2025年度中に終了する。三井住友銀行は25年9月30日に手形・小切手帳の発行を停止。みずほ銀行、みずほ信託銀行は26年3月末に紙の手形・小切手の発行や受け付けを終了する。三菱UFJ銀行も同様に発行終了などを近く公表する。3メガ銀の動きを受けて、地方銀行などにも同様の動きが広がりそうだ。

全国銀行協会(全銀協)は「手形・小切手機能の全面的な電子化に向けた自主行動計画」を策定し、26年度末までに手形・小切手の交換枚数をゼロにする目標を掲げている。

全銀協は22年11月に電子交換所を稼働し、銀行間の手形・小切手の交換手続きを電子化した。従来の手形・小切手は、受取人から取り立て依頼を受けた銀行が各地の交換所で振出人の銀行に紙の手形・小切手を提示し、銀行間の受払額を算出する。このため実物の手形・小切手を人手で搬送しなければならず、非効率との指摘があった。

電子交換所は手形・小切手のイメージデータを送受信する仕組みで、事務負担やコストを大幅に削減できる。今後は紙の小切手・手形そのものの発行を終了し、インターネットバンキングによる振り込みや電子記録債権などの電子的な支払い手段に移行する。

23年度の手形交換高は3009万枚、金額は88兆9377億円。年々減少傾向にあるが、中小企業を中心に根強い需要がある。

全銀協は手形に代わる電子決済手段のインフラとして、電子記録債権のネットワークを運営している。債権の発生から譲渡、支払いまでネット経由でシステムに記録し、企業間の送金や決済を電子上で完結する仕組みだ。

電子債権は手形と異なり、印紙税が非課税で、郵送料などもかからない。事務負担が軽減される上、現物の紛失や盗難などのリスクがなく、災害にも強い。手形のように債権の分割や譲渡もできる。

三井住友銀はネットバンキングや電子債権ネットのサービスを用意し、取引先企業の移行を促している。同社は手形・小切手の支払いの7割以上が電子的決済サービスに移行済みという。

みずほ銀もネットバンキング、電子債権ネットへの切り替えを呼びかけている。三菱UFJ銀は紙の手形・小切手の取り扱いについて月内にも公表するとみられ、25年度中にも発行を終了する見通しだ。


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日刊工業新聞 2024年09月13日

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