日野自は2倍増・三菱ふそうは20%減…10月の大型・中型トラック販売、明暗分かれた要因
国内のトラック販売をめぐり、商用車メーカーと架装メーカーとの連携が焦点として浮上している。日本自動車販売協会連合会(自販連)がまとめた10月の大型・中型トラック(登録車種「普通貨物車」から積載量1―2トンの台数を除いたもの)の販売台数は、前年同月比20・7%増の5722台で3カ月ぶりに増加に転じた。部品供給の改善などに伴い底堅い総需要を維持するものの、課題である架装の長納期化の改善度合いで10月は各社の明暗が分かれた。
企業別では三菱ふそうトラック・バスを除く3社が前年同月の実績を上回った。日野自動車は前年同月の台数が少なかった反動で同2・1倍と大幅に増加。全体の押し上げにも寄与した。UDトラックスは同18・9%増、いすゞ自動車は同12・7%増といずれも2ケタの伸びを示した。
一方、同20・0%減だった三菱ふそうは「メーカーでのシャシー生産の後工程の逼迫(ひっぱく)状況が続いており、特に当社の販売比率が高い分野の架装工程の遅れが大きかった」と分析する。
人手不足による架装の長納期化について、日野自は7月に対策に着手した。同社の佐藤直樹取締役は「OEM(完成車メーカー)、架装メーカー、販売会社とデータ連携し、どの工程で在庫が停滞しているかを可視化した。状況を踏まえて生産開始時期を調整している。徐々に改善に向かっている」と進捗(しんちょく)を説明する。
日野自の台数が増え同社のシェアが上昇したことで、他社のシェアは三菱ふそうが同9・5ポイント減、いすゞが同2・6ポイント減、UDが同0・3ポイント減とそれぞれ下落した。
日野自はエンジン認証不正による国内の出荷停止車両の型式認証再取得時期について、中型エンジンは2025年3月期中、大型エンジンは25年夏ごろの申請を目指している。26年3月期以降の全体の台数やシェアに影響しそうだ。