グーグル・アップルに規制、スマホソフト新法案の中身
公正取引委員会は巨大IT企業を規制する「スマホソフトウエア競争促進法」の運用に向けた政令・規則案を公表した。年度の月平均利用者数が4000万人以上となるスマートフォン向け基本ソフト(OS)、アプリストア、ブラウザー、検索エンジンの提供元を対象事業者に指定。利用状況などの届け出を求めた上で公取委による指定を行う。国内でOSのシェアを二分する米グーグルと米アップルが対象になるとみられ、各社の今後の対応が注視される。
国内のスマホ利用者数は約1億人とされており、市場シェア4割超の事業者が規制対象になる。該当企業にはOSやアプリストアなどソフトウエアごとに届け出を求め、指定された場合、年度ごとに規制順守に関する報告を義務付ける。
新法は他社の参入を妨げる行為や、過度な自社優遇などを禁止する。具体的にはアプリ配信や決済システムなどで取引事業者が不当な差別を受けないようにするほか、プラットフォーマーによる不当な情報提供制限などを禁じる。違反事業者には対象分野の国内売上高の20%を課徴金として科す。
政令・規則案は11月26日までパブリックコメントを実施し、12月中に施行される見通しだ。新法は25年12月までに全面施行され、それまでは違反行為が認められても罰則は科されない。30日に会見した公取委の藤本哲也事務総長は「意見を踏まえ成案を作成したい。有識者検討会での議論など引き続き施行に向けた準備を進める」と先を見据える。
新法は巨大IT企業による寡占に歯止めをかけ、スマホソフト市場への新規参入と競争を促す狙いがある。公取委は全面施行に向けて人員などの体制拡充も計画しており、実効性を確保できるかが焦点になる。
日刊工業新聞 2024年10月31日