中国・ファーウェイ制裁強化、半導体に新たな混乱

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ファーウェイのスマホ生産に支障が出るのはほぼ確実

米国が15日に発表した中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)への制裁強化は半導体市場に新たな混乱をもたらした。米国製の製造装置を使った半導体も輸出禁止となり、世界の半導体メーカー間に動揺が広がる。日本のソニーやキオクシア(旧東芝メモリ)もファーウェイの調達リストに名を連ねるが、1年ぶりのファーウェイ・ショック第2波の影響は読めない。

米国の制裁強化の主な目的はファーウェイと、半導体受託製造世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)との取引遮断にあるとみられる。規制対象はファーウェイや半導体設計子会社の海思半導体(ハイシリコン)が設計した半導体に限られ、それ以外の半導体は対象外となるようだ。半導体各社は現在、法務専門家に規制の詳細を確認している。

米国製の製造装置を多く使うソニーやキオクシアは今のところ動向を注視する姿勢を崩していない。ただ、両社は主に自社で半導体を設計しており、ファーウェイとの取引が問題ないとの判断に至る可能性も少なくない。

代替調達困難

一方で、TSMCからの供給を断たれるファーウェイはスマートフォン(スマホ)や第5世代通信(5G)の通信装置などの生産に支障が出るのはほぼ確実だ。特に5G関連で用いるような先端半導体の製造は全世界でTSMCと韓国・サムスン電子しかできず、中国国内の受託製造会社から代替調達するのは難しいからだ。19年5月の第1弾の禁輸措置発動前から主要部品の在庫を積み増して有事に備えてきたファーウェイ。ただ、問題が長期化すれば、スマホなどの生産制約によりファーウェイ向けの全ての半導体需要が落ち込む。回り回って、ソニーやキオクシアの事業に結局影響が及ぶ。

米中貿易摩擦の激化が、新型コロナウイルス感染拡大でもともと厳しいスマホ市場の足をさらに引っ張る事態だ。ただ、スマホ向けにイメージセンサーを供給するソニーと、スマホに加えて通信装置にもNAND型フラッシュメモリーを販売するキオクシアでは受ける打撃に差が出そう。

中国の報復措置も予想され、規制強化の対象に米アップルなどの名が取り沙汰される。実際に中国が動けば、世界の半導体市場により大きな混乱をもたらすことになる。

(文・鈴木岳志) 【関連記事】 中国のディープな半導体事情をすべて話そう

日刊工業新聞2020年5月25日

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