工数削減・省人化を実現…パナソニックホームズの競争力の源泉、つくば工場の全容
異構法の外壁パネル集約
パナソニックホームズは多層階住宅「ビューノ」の新製品投入に伴い、つくば工場(茨城県つくばみらい市)に外壁パネルの製造ラインを新設し、12月に稼働する。工場の作業効率化に加え、建設現場の省力化と廃材低減を図る。東日本エリアの拠点で全社の約44%の住宅生産を担う同工場では、部署連携による家づくりの一貫体制に取り組んできた。異なる構法の製造ラインを集約するなど、生産性向上を追求している。(地主豊)都市の賃貸や賃貸併用、店舗などに特化したビューノは2011年発売の工業化住宅。重量鉄骨ラーメン構造(NS構法)で9階建てまで対応する。新製品「NEWビューノ」は東京都が定める断熱性能「東京ゼロエミ住宅」の新基準で最高の「水準A」を全住戸で満たす。
つくば工場の新ラインでは、2種類ある外壁の断熱仕様で木枠材の断面を共通化。加工作業を効率化する。外壁パネル室内側の内装部は、断熱材の軽量化と木枠材の断面を縮小し、従来より約45%軽量化する。工場で内装下地パネルと石こうボードに給気口などを開けて出荷し、建設現場で貼り合わせる。省力化と工数削減に加え、廃材の発生も抑える。
新ラインは、NEWビューノ用のNS構法・高断熱内装パネルを製造するパーツ加工ラインとパネル組み立てラインで構成。パーツ加工に4人、パネル組み立てに5人を配置する。従来のNS構法と、一戸建てなど最大3階建て対応の制震鉄骨軸組構造(HS構法)の内装パネルを作るラインと比べて、1人当たりの生産能力は5割程度高まる見通しだ。
邸別生産で邸ごとにパネルを作るため、開発段階で構成をシンプルにした。「パネルごとの工数と時間のバラつきを極力抑える」(原田健司つくば製造部部長)ことで、ラインをスムーズに流す。同社は新ラインにおけるNS高断熱内装パネルの生産数を1日300枚と見込む。窓付きの開口部分のパネルなら、1枚当たりの製造時間は従来の同等なパネルと比べて半分程度に短縮できるという。
つくば工場は省人化と効率化のため、HS・NS両構法のラインを集約するミックス生産体制を22年に導入。人手不足や高齢化の対策として「別の場所にある新旧のラインを将来的に集約したい」(原田部長)考えだ。
さらに、NS構法では外壁タイル張りを工場で行う無足場外壁工法を採用。「ビューノの市場は9割以上が首都圏。無足場なら狭い敷地でも有効活用できる」(飯尾元彦NS商品開発部部長)のが特徴。プランニングの幅を広げている。
]【関連記事】 パナソニックグループが頼りにする異能の変革集団