さらさら・ざらざら・ふわふわの触覚再現、シャープが実用化目指す技術の中身
シャープは触覚の再現技術を開発した。電極を通じて指先に微細な振動を与え、さらさら・ざらざらといった手触りの感覚を再現する。仮想現実(VR)内でアバター(分身)に触れた際の感覚を再現するなど、VRコミュニケーションを補う用途を想定する。教育や電子商取引(EC)分野への応用も見込む。液晶制御の技術を応用して装置を小型化し、3年後の実用化を目指す。
短冊状の複数の電極を約1ミリメートル間隔で縦に並べ、15ミリ×15ミリメートルの範囲で触覚を再現できる装置を開発した。装置に置いた指にそれぞれの電極から振動を順番に与える。振動の大きさや位置、生じる時間を変えることで、さらさら・ざらざら・ふわふわといった触覚を再現できる。
振動のほかに電気刺激などを与えると、再現できる触覚の幅が広がる見込みだ。薄膜トランジスタ(TFT)液晶の技術を応用して、振動や電気刺激を与える信号を微細に制御する。将来は五指全てに触覚を再現できるよう、装置の小型化や軽量化も進める。
シャープによると、ものをつかむ感覚を再現する技術開発は進んでいるが手触りの再現は珍しいという。VRへの展開を通じて「まずは楽しいと感じてほしい」(同社インキュベーション推進部)とする。
日刊工業新聞 2024年10月17日