「量子暗号通信」グローバル規模で実現、東芝が新技術
東芝は量子力学の原理を用いた次世代の暗号通信技術である「量子暗号通信」をグローバル規模で実現する技術を開発した。情報を暗号化する手順である「暗号鍵」を光子(光の粒子)の量子力学的な性質を利用して「量子鍵」として電送する際、拠点間を介することで効率的に配送することに成功した。大規模化・高速化することで、より広い範囲で量子暗号通信の実現が期待できる。
従来の量子鍵の配送では2拠点間での共有のみで、送信側と受信側の距離は150キロメートル程度が限界だった。東芝は16拠点の模擬的なネットワークを構築し、拠点間で量子鍵を共有する「鍵リレー」を行うことで、安全に長距離の配送ができることを実証した。集中管理サーバーや配送経路制御のアルゴリズムなどを評価し、正しく動くことを確認した。
併せて量子鍵の配送速度を向上するため、複数の量子鍵の配送システムからの配送を一つの光ファイバー上で実現することで、配送速度の向上を確認した。
東芝研究開発センター情報通信プラットフォーム研究所の金子雄シニアマネージャーは「応用の幅を広げるため、速度の向上を今後も目指していきたい」と話している。
日刊工業新聞 2024年09月06日