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経営改革のラストチャンス…東芝が発足、プロジェクトチームが果たす役割

経営改革のラストチャンス…東芝が発足、プロジェクトチームが果たす役割

ラストチャンスを生かし、着実な経営改革の実行が求められる(5月に新中計の会見をする島田社長㊧と池谷副社長)

非上場化後の施策実行 「社員の意見取り入れる」

東芝は1日、社内横断の「経営改革プロジェクトチーム」を発足する。非上場化後、5月に策定した2027年3月期を目標とする中期経営計画に沿い、施策を着実に実行するための組織で、トップに池谷光司副社長が就任する。東芝は組織体制や人事制度の抜本的な見直しのほか、社会環境の変化に合わせた事業戦略など課題が山積する。プロジェクトチームが“触媒”となって全社レベルの社内改革を進め、経営の早期立て直しを図る。(編集委員・小川淳)

プロジェクトチームの人員は約20人。間接部門のほか、事業部出身者など多様な人材をそろえた。活動期限は設けていない。

海外ファンドなど「物言う株主」との対立で経営の混乱が続いていた東芝は、投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)陣営の買収提案を受け入れ、23年12月に上場を廃止した。池谷副社長はJIPの副会長を兼務している。株主がJIP陣営に一本化されたことで、島田太郎社長は5月の会見で「信頼感を持って同じものを見て物事を語ることができる状態になった」と述べており、より実効性のある経営改革の推進が期待される。

東芝がJIP陣営とともに作り上げた中計では、27年3月期に最も重要な経営指標とする売上高営業利益率(ROS)を10・1%とする目標を掲げる。24年3月期は1・2%にとどまる。

島田社長は「事業部長をはじめとする関係者と膝詰めで何度も議論を重ねた蓋然(がいぜん)性の高い計画」と自信を見せる。東芝はポートフォリオを抜本的に見直し、成長の見込めるデジタルやエネルギー、インフラ領域などに経営資源を集中して売り上げを伸ばすと同時に、人員削減や川崎市へ本社の移転・集約、主要4子会社の東芝本体の統合などを実行して固定費を削減し、損益分岐点の大幅な引き下げを進めていく。

1日に発足するプロジェクトチームは、経営改革をより実効性のあるものとするため、現場に近い人材などを集め、経営側と一般の社員たちとの橋渡し役をしていく。「本社の事業や人事制度の変更を経営側だけでなく、社員の意見を取り入れながら変えていく」(池谷副社長)ための組織となる。

物言う株主が去り、東芝がより抜本的な改革を実現する環境は整った。今回のラストチャンスを生かし、経営改革を着実に実行するには、全社的な意識改革が重要であり、プロジェクトチームの果たす役割は大きい。


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日刊工業新聞 2024年08月01日

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