ソニーG・三菱電機は上方修正…電機メーカー8社、通期予想の全容
電機大手8社の2025年3月期業績予想は為替の円安傾向に加え、本業の堅調さが寄与し、ソニーグループ、三菱電機が従来予想を上方修正した。一方で直近の日銀による利上げの影響で為替レートは急激な円高に振れるなど、市場は不安定化している。為替レートの乱高下は各社の収益を左右しそうだ。また、米大統領選をにらみ、米国経済の行方も各社は注視する。非上場化した東芝は見通しを公表していない。
ソニーGの25年3月期の連結当期利益は、前期比1%増の9800億円に上方修正。ゲーム分野などの業績が好調な上、円安傾向が収益を押し上げる。7月以降の想定為替レートは1ドル=145円前後から、148円前後と円安に修正した。
一方で十時裕樹社長は「我々の事業で一番気にしないといけないのは米国の消費動向だ。やや景気減速のシグナルが出ているが、注意深く見守りたい」と指摘している。
三菱電機も同期の連結売上高を上方修正した。7月以降の想定為替レートを1ドル=140円から150円に見直したことなどによる。増田邦昭最高財務責任者(CFO)は「為替の押し上げ効果以外は(一部事業で)マイナスを見込んでいる」と説明する。
日立製作所は業績予想を据え置いた。想定為替レートは1ドル=140円のままだ。加藤知巳CFOは「業績予想は利上げを前提に織り込み済み」とした上で、利上げが「顧客の投資行動に中長期的に影響が出る可能性を気にしている」とした。
シャープも業績予想を据え置く。想定為替レートは1ドル=150円程度で推移するとみる。海外から家電などを輸入しているため「円高の方がメリットが大きい」(沖津雅浩社長)とした。
【関連技術】 パナソニックも注目する元白熱電球メーカーの変身ぶり
【関連記事】「日本の総合電機は日立と三菱電機の2社になる」
日刊工業新聞 2024年08月12日