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アバターを社会は受容するか、阪大・石黒浩教授らが大規模検証

アバターを社会は受容するか、阪大・石黒浩教授らが大規模検証

阪大の石黒教授

大阪大学の石黒浩教授は国際電気通信基礎技術研究所(ATR)などと、アバター(分身)技術の社会受容性を大規模検証する「アバター1000実証実験」を始める。大阪と東京、スペイン・バルセロナにロボットやコンピューターグラフィックス(CG)のアバターを配置し、一般市民が未来の働き方やアバターサービスを体験する。海外のアバターベンチャーなどを招き、企業コンソーシアムの国際活動を推進する。

2023年にアバター100台を用いた「アバター100実証実験」を開き、24年はアバター1000実証実験として拡大する。機体を10倍に増やすのではなく、アバター集積拠点を複数運営して1000台規模の運用技術やシステムを実証する。

アバターはソニーの見守り介護ロボットや阪大とATRが開発したアンドロイドや対話ロボ、CGアバターなどを配置する。生活支援や介護支援、街中でのイベント案内などを体験できる。

アバターを用いると障がいなどを抱えていても遠隔で働ける。また大規模言語モデル(LLM)にアバターの対話を担わせ、うまくいかなかった部分を人がサポートして1人で多数のアバターの対話を更新していくモデルを検証する。こうしたアバターサービスへの意見を集め、開発やサービス設計にフィードバックする。

実証実験と並行して海外からアバター関連のベンチャーや研究者を招いてアバター企業コンソーシアムのシンポジウムを開く。これまでコンソーシアムは日本企業が中心だったが国際化して社会変革を推進する。内閣府・科学技術振興機構(JST)のムーンショット型研究開発事業として実施する。

日刊工業新聞 2024年9月5日

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