ニュースイッチ

ロボティクスセーリングラボが三重で実証、「ロボット漁船」の機能

ロボティクスセーリングラボが三重で実証、「ロボット漁船」の機能

9月に給餌機への餌供給を実験するロボット漁船

ロボティクスセーリングラボ(大阪府松原市、二瓶泰範社長)は、開発中のロボット漁船の実証実験を月内に三重県内で実施する。漁港で餌を載せたロボット漁船を養殖いけすまで自動航行、自動着岸させ、その後に自動給餌機に餌を補給する手法を確立するのが目的。成功すれば、全体の作業自動化に向けて大きく前進する。養殖いけすは沖合の遠方にあることが多く、給餌機への大量の餌補給は漁業者にとって重労働になっており、ロボット漁船で解決する。

餌を積んでいるロボット漁船は、水面下の船体に回転する4個のスラスター(推進装置)を装備。これにより、さまざまな方向への移動や位置・姿勢の保持を行う。1度に11トン程度の餌を供給できる。

沖合に浮かぶ養殖いけすに到着後にスラスターを使って着岸し、いけすに係船される。ここまでの技術は既に確立しており、後は自動給餌機側の受け口を自動で見つけて、餌補給ノズルと受け口を自動的に接続し、漁船内の餌タンクから餌を移送する技術開発が課題となっている。

給餌機内の餌はペレット状で、いけすに係船したらダクトホースでロボット漁船と給餌機をつないでエアで搬送する。数センチメートルの誤差でも、餌がこぼれたり給餌機に供給できないため、位置決めの精度と、海上で船がゆらゆらと揺れ動く中でも定位置を保ち続けられるかなどがポイントになる。餌の供給には約1時間を要する。

ロボティクスセーリングラボは大阪公立大学発ベンチャーで2023年4月に設立。水産養殖場における自動給餌機への餌補給船の開発などを手がける。

日刊工業新聞 2024年9月4日

編集部のおすすめ