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レゾナックが廃プラ再生技術を供与する狙い

レゾナックが廃プラ再生技術を供与する狙い

レゾナックのKPRプラント

レゾナックは川崎事業所(川崎市川崎区)で取り組む廃プラスチックのケミカルリサイクル(CR)事業を拡大する。20年以上の稼働実績などを生かし、技術ライセンスの供与を提案。伊藤忠商事や川崎市と連携するなど、活動の幅も広げる。CR事業を通じ、カーボンニュートラル温室効果ガス〈GHG〉排出量実質ゼロ)や循環型社会への一層の貢献につなげる考えだ。

レゾナックは2003年、廃プラを水素・アンモニアなどの化学品原料にCRする「川崎プラスチックリサイクル(KPR)事業」をスタートした。

「10年くらい前は安定稼働が課題」(高橋秀仁社長)だったものの、環境意識の高まりを受けてリサイクルされるプラスチックの質が向上したことや、シミュレーションによってKPRプラントの最適な運転状況を確認できるようになった点などが寄与。20年以上の運転実績や知見などが同社の強みとして確立されてきている。

そこで取り組み始めたのが、KPR事業の技術ライセンスを供与する提案だ。高橋社長は「設備投資が大きいので、当社がさまざまな場所に作れるわけではない。資金力はあるが技術力がないところにはライセンスを供与し、世の中全体で二酸化炭素(CO2)排出量が減ることになれば良い」と期待する。

他者との連携など、活動の幅も着々と広げている。伊藤忠商事と廃プラ・衣類をアンモニアにするリサイクルで連携。川崎市とは、川崎港で回収した海洋プラスチックゴミを水素・アンモニアなどにリサイクルする実証実験に取り組む。KPRを生かし、循環型社会への貢献にも力を入れていく。

日刊工業新聞 2024年8月28日

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