タイプ違う相棒、強み発揮…日立Astemoの二人が語る技能五輪への意気込み
世界の若き匠が持ち前の技能を競う第47回技能五輪国際大会が9月10日―15日にフランスのリヨンで開かれる。隔年開催だが前回はコロナ禍の影響で15カ国の分散開催だった。久々に1国に技能者が集う大会へ「モノづくりニッポン」代表で臨む主な選手を紹介する。
「物事を深くまで突き詰めることが得意」「努力家で最後まで諦めずにやり続ける」。日立Astemo(アステモ、東京都千代田区)の内山颯選手(19)と新田隼生選手(19)は、それぞれ相棒の強みをこう評価する。
日立アステモは人材育成のため技能五輪に取り組み、国内大会で幅広い職種に選手を送り出している。2人が出場するインダストリー4・0職種は国際大会の職種で、ネットワーク構築やセキュリティー強化、データ可視化などの課題を2人でこなすのが特徴。IoT(モノのインターネット)やクラウド、現実世界を仮想空間に再現する「デジタルツイン」など最新技術を駆使し、難しい課題への対応にはチームワークとコミュニケーションがカギを握る。
内山選手は「自分ができないところの共有など細かい部分でも必ず話す」とし、新田選手も「相方の課題がどれくらい進んでいるのか。自分の役割を理解し、少しでも正確に早く課題をこなす」と緊密な連携を重視する。
内山選手と新田選手は同学年で日立工業専修学校の出身。指導員の水沼宏光さんも「高校から同じで気の知れた仲。2人とも非常に素直でチームワークが良く、解決に向けた話し合いができている」と評価する。内山選手は「真面目にコツコツやる」と自身を分析し、新田選手は「新しいことへの探究心や発見が自分の中で強い」と表現する。タイプも趣味も異なるがこれが多様な課題への対応力となり「見え方や考え方の違いが重宝している」(新田選手)。
2人が技能五輪を目指したのは「技術者が集う中で競技をして高みを目指したい」(同)という思いからだ。前哨戦ともいえる5月に豪州・メルボルンで開かれた「グローバル・スキルズ・チャレンジ2024」では「海外の選手と交流できたのが良い経験になった」(内山選手)と振り返り、新田選手も「日本人とは違う文化があり、足りないところや気付きがあった」と指摘する。
国際大会に向けて、内山選手は「大きな舞台で緊張する面もあるが楽しむことを忘れず、力を全て出し切って金メダルを目指したい」と意気込む。新田選手も「1度しか挑戦できない国際大会で金メダルを目指す。それと同じぐらいに出場する21カ国の選手と交流し良い経験を積みたい」と熱く語る。本番への期待は高まっている。
【インダストリー4.0】工場のデジタル化を担うデジタル生産システム技能者の育成を目的とする。競技は1チーム2人の選手によるチーム競技で、メカトロニクス担当とIT技術者がチームとなり、ITを駆使し問題の解決などを行う。機械組み立てやコミュニケーション能力、修理技術、消費エネルギーのモニターなどを競う。課題はモジュール形式で、柔軟でオープンなアプローチと高い専門知識、セキュリティーニーズ、最適化の重要性認識が求められる。
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