ニュースイッチ

住友電工が72億円投資、新研究棟でAI拡大の好機つかむ

光コネクターの研究開発棟を横浜製作所に新設
住友電工が72億円投資、新研究棟でAI拡大の好機つかむ

住友電工の横浜製作所

住友電気工業は通信機器を接続する光コネクターの研究開発(R&D)棟を横浜製作所(横浜市栄区)に新設する。投資額は建屋と設備を合わせ72億5000万円。技術者を60―70人配置し、2026年7月に業務を始める。人工知能(AI)市場の急成長で、データセンター(DC)の高速大容量通信・省電力に寄与する光コネクター需要が強まる見通し。高性能で取り扱いや据え付けも容易な光コネクターの実用化に先行投資し、AI拡大の好機をつかむ。

横浜製作所に平屋と3階建ての新棟を建設し、1階を渡り廊下でつなぐ。総延べ床面積5500平方メートル。平屋は温度変化や振動を避け精密装置を置き、光コネクターを成形する。3階建てでは組み立て工程のほか実験や検査の装置を設ける。

12月に着工し26年3月末に完成予定。ほかの研究棟からも装置を移設後、26年7月に稼働する。老朽化した建屋があるため、新棟の整備を機に研究棟の統廃合も実施する。稼働後も実験装置を増やし、長期には数十人の技術者増員を視野に入れる。従来の研究棟や装置だけではR&Dに限界があった。そこでAI市場の急成長も踏まえ、新棟の整備や統廃合に踏み切る。

光コネクターの研究開発では、通信機器との接続箇所で生じる電力の損失低減を主なテーマとする。ほかに容易な着脱や小型化設計、コスト低減の技術にも取り組む。大型DCの多くは外部や建屋との間、さらに通信機器とコンピューターを収容するラック間が、光ファイバーケーブルで結ばれている。だがラック内はまだ金属ケーブルの接続が多く、通信信号が減衰し電力も多く消費する要因となる。住友電工はこうした短距離間も光ケーブルに置き換えやすい光コネクターを開発する。

日刊工業新聞 2024年8月21日

編集部のおすすめ