ニュースイッチ

ベトナムで航空機部品生産増強、三菱重工が内製視野の背景

ベトナムで航空機部品生産増強、三菱重工が内製視野の背景

三菱重工は民間機需要の回復を見据え、MHIエアロスペースベトナムの生産体制強化に向けて検討を本格化する

三菱重工業は民間航空機事業を強化する一環として、ベトナムの生産拠点を拡張する方向で本格検討に入った。米ボーイングの旅客機向けフラップや乗降扉などの組み立てを手がけているが、コスト競争力を強化するため、日本などから輸出している部品製造の一部をベトナムに移すことを視野に入れる。部品の機械加工から組み立てまで一貫した製造体制を構築する場合、新棟の建設を見据える。

ボーイングはベトナムをサプライチェーン(供給網)の重要拠点に位置付ける。三菱重工は民間機需要の回復を見据え、現地法人「MHIエアロスペースベトナム(MHIVA)」の生産体制強化に向けて検討を本格化する。

MHIVAはボーイング向けビジネスを中心に手がけており、小型旅客機「737」のフラップや大型機「777」、同「777X」向け乗降扉を生産している。また、8月にも欧エアバスの小型機「A321neo」向け非常扉の本格量産に入る。<同非常扉の初年度生産数は年100個以上になるとみられる。

足元ではボーイングの品質問題を受け、生産レートは軟調に推移する。ただ航空旅客需要の回復に伴い、単通路機を中心に民間機需要が拡大。ボーイングは品質や安全性を最優先にしつつ、段階的に「737」の生産レートを戻す方針を示している。

これまで三菱重工は東南アジアでのサプライヤー開拓を進めてきたが、需要の回復期に備えて部品の内製を視野に入れることにした。MHIVAはこのほど設立15周年を迎えた。「737」フラップの累計出荷は3500機を超える。


【関連記事】 航空機リースのからくり
日刊工業新聞 2024年07月29日

編集部のおすすめ