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赤字「モビリティー」も注力領域…売上高10兆円へ、ニデックが示した道筋

赤字「モビリティー」も注力領域…売上高10兆円へ、ニデックが示した道筋

会見する岸田社長

ニデックが2031年3月期に売上高10兆円を達成するための道筋を示した。車載事業をけん引役とする従来の成長戦略を見直し、自社の技術力が生かせる五つの注力事業領域を定めた。岸田光哉社長は「10兆円達成の海図は永守重信グローバルグループ代表の頭の中にあった」と説明。これを具現化し、“第2創業”に向けて前進する。

「三つの技術をコアとし、成長の源泉とする」と岸田社長は説明する。「回す技術」、そこから派生した「熱マネジメント」「発電・蓄電・充電・変電」だ。この3技術を進化させつつ、注力する五つの領域に製品・ソリューションを投入する。注力5領域は家電などの生活分野や、発電機などのインフラ分野。特に高い成長率を見込むのが人工知能(AI)関連や、工作機械・精密減速機だ。

単位億円、増減率%、下段通期見通し、▼は赤字・マイナス。配当がある場合の上段カッコ内は前の期の実績、下段通期見通し

赤字が続いてきたモビリティー分野も引き続き、注力領域に据えた。31年3月期に自律成長で売上高1兆3000億円の達成を見込む。電動駆動装置「イーアクスル」は、構造改革が完了。中国・広州汽車と仏ステランティス向けの供給に注力するとともに、9月以降に第3世代製品を投入し、巻き返しを図る。日系を含む他の自動車メーカー向けには、トラクション部品の供給を強化する。

23日発表した24年4―6月期連結決算(国際会計基準)は、精密小型モーターで収益性の高い事業ポートフォリオへの転換が進んだことなどが寄与し、増収営業増益だった。


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日刊工業新聞 2024年7月24日

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