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ニデック・TDK・京セラ…電子部品8社の通期見通し、7社が当期増益の要因

ニデック・TDK・京セラ…電子部品8社の通期見通し、7社が当期増益の要因

電子部品イメージ

電子部品8社の2025年3月期連結業績予想は、7社が当期増益を見込む。アルプスアルパインは当期損益が黒字転換する。車載向け部品が堅調に推移するほか、サプライチェーン(供給網)にある在庫の消化が緩やかに進み、需要の回復が見込まれる。中国経済の減速による影響が懸念される中、人員削減を含む構造改革を進め、注力事業に一段と集中し、筋肉質な企業体質への変化を試みる企業もある。将来的な需要の増加を見据え、各社が準備を整える。

電子部品8社 2024年3月期

車市場では先進運転支援システム(ADAS)や電動車(xEV)の普及に伴い、電子部品の搭載数が増えることが見込まれる。太陽誘電の福田智光取締役常務執行役員は「魅力のある市場」と話した。村田製作所は車載向け積層セラミックコンデンサー(MLCC)やインダクターなどが伸びるとみており、TDKもMLCCのほか、車載向け磁気センサーなどへの需要増を見込む。

車市場に注目が集まる一方、中国経済の動向は引き続き懸念材料となる。ニデックの永守重信グローバルグループ代表は「中国では車だけでなく、あらゆる分野で過酷な競争が起きている」と指摘。オムロンの辻永順太社長は中国市場について「25年3月期は本格的な回復は見込まず、ほぼ横ばい」と見ている。また、ミネベアミツミの貝沼由久会長兼最高経営責任者(CEO)はハンドルなどを含む自動車部品事業に関して「中国マーケットの今後を見ると安心できない」と懸念する。

こうした環境の中でも成長を図るため、構造改革を積極的に行う企業もある。例えば、オムロンは構造改革に280億円を計上し、国内外での2000人の人員削減などに充てる方針。またアルプスアルパインは海外を中心に3000人規模の削減を計画。非注力事業の整理や撤退、拠点の集約も行う方針だ。

ただ、明るい兆しもある。京セラがコンデンサーなどの電子部品や半導体パッケージの市況について下期(24年10月―25年3月)の回復を予想するように、在庫消化が進み緩やかに需要が回復する見通しだ。東海東京インテリジェンス・ラボ企業調査部の萩原幸一朗シニアアナリストは「逆風を受けた24年3月期に対して、25年3月期は希望の光が見えてきた」とみる。企業体力を強化し、今後の需要に応えられる体質づくりが求められる。

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日刊工業新聞 2024年5月16日

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