売上高10兆円へ、ニデックが掲げた注力5事業と数値目標
ニデックは23日、2031年3月期に売上高10兆円を見据えた中長期の方向性を発表した。成長をけん引する注力事業領域として5事業を掲げた。車載事業を成長エンジンと位置付けた現中期計画(最終年度は26年3月期)と比べるとバランスを重視した内容となった。4月に就任した岸田光哉社長にとっては、売上高10兆円の実現に向けた道筋を付けることが使命となる。(総合3に関連記事)
注力5事業はデータセンター(DC)のサーバー用水冷モジュールといった人工知能(AI)関連から、家電向けモーターを含む生活分野、発電機をはじめとしたインフラやエネルギー分野まで幅広くカバーした。自律成長で売上高7兆円を達成し、新規のM&A(合併・買収)で同3兆円の上積みを計画する。売上高10兆円の達成に向け、各事業の数値目標を詳細に公表した。
同日、都内で会見した岸田社長は「これまでは(売上高10兆円という)目標のみを示していた。今回、目標に至る『地図』を我々経営陣の手で書き上げ、皆さまに提示できるところまでもってきた」と、中長期の方向性を公表した理由を説明した。
またソフトウエア開発の強化に向け、印タタ・エレクシーと協力覚書(MOU)を結んだと同日発表した。さらに、インドにニデックグループのソフトウエア開発を主導する拠点「センター・オブ・エクセレンス(CoE)」を開設し、24年度内に始動する計画を示した。
現中計では26年3月期に売上高4兆円を目指したものの、25年3月期は同2兆5000億円にとどまる見通し。電動駆動装置「イーアクスル」の不振などで車載事業が伸び悩み、達成が厳しい状況にある。
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日刊工業新聞 2024年7月24日