「EUV露光」導入・保守に1.5倍600人、蘭ASMLが日本増員に動く狙い
半導体露光装置大手の蘭ASMLは日本法人の人員を2026年末までに現在の約1・5倍となる約600人規模まで増やす計画だ。24年中にはラピダス(東京都千代田区)が北海道のパイロットラインに、日本で初めて極端紫外線(EUV)露光装置を導入。25年には米マイクロン・テクノロジーも広島県内の工場に導入する計画。先端半導体の製造に不可欠な同装置の技術支援体制を強化し、日本における先端半導体の安定供給を後押しする。
ASMLの日本法人はキオクシアやソニーグループ、台湾積体電路製造(TSMC)子会社のJASM(熊本県菊陽町)など、半導体工場がある地域に拠点を構える。9月には、ラピダスが工場を建設する北海道千歳市にも進出を予定し、全国8カ所に拠点を持つことになる。
ASMLが人員強化に動く背景には、日本政府の補助金などを受けて各地で半導体工場の建設が拡大し、日本でEUV露光装置の導入が進むことがある。24年にはラピダスが建設中のパイロットラインに導入を計画するほか、JASMが進める熊本県菊陽町の第2工場でも同装置が導入される見通しだ。今後数年で同装置の稼働が急増するため、装置の立ち上げや保守点検の体制を強化する。
ASMLは千歳市に拠点を開設した後、最大30人程度がラピダスのパイロットライン構築を支援する。量産開始までに50人程度まで増やす。このほか広島県や熊本県でも人員を増やす予定だ。
ASMLは世界で唯一、EUV露光装置を製造できる企業。同装置は、プロセスノードが7ナノメートル(ナノは10億分の1)以下の先端半導体の製造には不可欠だ。
調査会社マーケッツアンドマーケッツの情報サービス「ナレッジストア」によると、EUV露光装置市場は23年から28年にかけて年平均で21%成長し、28年に252億ドル(約4兆円)に拡大すると予測する。
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