欧米に商機…住友化学、「農薬事業」拡大の勝算
住友化学は成長領域の農薬関連事業を拡大する。10月から担当組織を「アグロ&ライフソリューション」に再編し、環境負荷の低い化学農薬や天然物由来の農薬など幅広いニーズに対応する。また欧州市場の開拓に向け、関連企業のM&A(合併・買収)を実施し2025年にも新体制に整える。欧米で環境負荷の低い農薬の需要が増す中、事業体制を整えてリジェネラティブ(環境再生型)農業の商機に即応する。
住友化学の農薬は環境負荷の低い化学農薬に加え、欧米で主流の不耕起栽培に適した農薬や、天然物由来の農薬「バイオラショナル」など幅広いニーズに対応する製品が強みとなっている。これらを組み合わせリジェネラティブ農業に貢献する。
ニーズに応じるため、米国やカナダ、アルゼンチン、ブラジルで新規除草剤「ラピディシル」で農薬登録の申請を実施。近くアルゼンチンで認可が下りるとみており、他国でも認可が広がる見通し。このほか殺菌剤「インディフリン」の需要も見込む。一方、工場を置くブラジルやインドなどサプライチェーン(供給網)の強みも活用する。中間体の供給や原料の調達などを含めて最適な体制を模索するほか、サプライチェーンを再構築して中国に依存しない体制の構築につなげる。欧州ではM&Aを市場開拓の施策と位置付ける。欧州は環境意識が高く、先進的な対応には欧州市場の動向を捉えることが重要とみる。M&Aについて複数のプロジェクトを並行して進めており「24年中には着手し、25年には新体制が整う」(岩田圭一社長)としている。
日刊工業新聞 2024年7月3日