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三井化学が韓国で半導体関連開拓、「期待の星」は製造用テープ

三井化学が韓国で半導体関連開拓、「期待の星」は製造用テープ

三井化学が重視する半導体製造工程用テープ「イクロステープ」

三井化学が韓国で半導体関連分野を開拓する。期待する一つが、半導体製造工程用テープ「イクロステープ」だ。現地デバイスメーカーでの生成人工知能(AI)関連の需要が伸びるとみており、現地法人の三井化学韓国が要求にきめ細かく対応する考え。韓国の半導体業界での海外生産の動きも捉えるため、グローバルでのグループ連携により事業拡大を狙う。(山岸渉)

「期待の星だ」。三井化学韓国の鳥居知記社長はイクロステープについてこう力を込める。イクロステープは半導体製造工程用ウエハー表面保護テープとして使われ、高い密着性や剥離性など幅広い機能を持たせることができる点が特徴。特に「お客さまで起こっている現象をいかに正確につかむか」(鳥居社長)を念頭に、顧客ニーズに合わせた対応力が重要と捉える。

三井化学は台湾でイクロステープの生産能力増強など体制強化を進めている。韓国では生成AI向け広帯域メモリー(HBM)関連の需要も増えており、体制強化と併せてきめ細かい対応で需要に対応する考えだ。

また韓国の半導体関連企業では海外生産が増えている側面もあり、三井化学はグローバルに拠点を持つことが強みでもある。韓国で開発された製品が北米など他地域で生産される場合を踏まえ、三井化学グループが連携して円滑に需要を取り込むことも必要と捉えている。

三井化学韓国は情報収集や顧客サービスの強化に向けて2016年に設立し、販社機能を持つ。23年度は全体的な半導体市況が厳しかったが、旭化成から譲渡されたペリクル事業でのフラットパネルディスプレー(FPD)ペリクルといった分野が寄与。三井化学韓国は順調に業績が拡大しているという。

三井化学は半導体関連を担うICT(情報通信技術)ソリューション事業で中長期的な成長を目指している。韓国でもきめ細かい営業体制でさらなる事業拡大につなげる考えだ。


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日刊工業新聞 2024年06月03日

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