ANAがマイル“経済圏”を個人旅行分野に拡大する背景
宿泊・レジャーなど他社予約サイトと連携
ANAホールディングス(HD)はマイルポイントをためて使える“経済圏”を個人旅行分野に拡大する。新設する情報基盤を通じ、より多くのホテルやレンタカー、アクティビティーでマイルを使える環境を整える。まず宿泊予約サイト「じゃらん」などと連携し、ANAウェブサイトから予約できるホテル数を従来比3倍の約1万2000施設に拡充した。拡大する個人旅行市場の取り込みを狙う。(梶原洵子)
ANA X(東京都中央区)が立ち上げる情報基盤「TaaS(トラベル・アズ・ア・サービス)プラットフォーム」を通じ、複数の旅行商材をまとめて予約・決済できる環境を提供する。従来も航空券とホテルをセットで販売していたが、他社の予約サイトとのシステム連携で予約対象を拡大し、多様な旅行ニーズに対応する。
ホテルやアクティビティー単独の予約も可能で、全ての予約でマイルをためて使うことができる。「経済圏の幅を広げたい」(ANAXの森田将裕旅行事業推進部長)とする。
第1弾として3月26日から国内宿泊予約で「じゃらん」と「アゴダ」との連携を開始した。2024年夏に国内レンタカー、24年後半以降に国内アクティビティーやゴルフ、海外ホテルなどへ商材を広げる。旅行計画をまとめて管理できる利便性も訴求する。
ANAのウェブサイトやスマートフォン用アプリケーション、航空券予約ページに「ホテル」などのタブを設け、TaaSページへ誘導する。
ANA航空券購入者のうち約2%にとどまるANA経由の宿泊予約を26年度に約3倍へ引き上げるのが目標だ。航空券を使わない旅行需要も取り込む。
背景にあるのは旅行市場の変化だ。パックツアーが低迷し、個人が航空券やホテルを手配する旅行が増えている。ANAも航空券の個人向け販売が伸びており、旅行商品を売るチャンスがあるとみる。ホテルやレジャー施設などには、確実に現地へ行く航空券購入者やANAマイレージ会員を誘客できることを訴求し、TaaSへの参画を増やし、提供商材を充実させる。