売上1000億円へ…NTTが商用提供、独自LLM「ツヅミ」で生かす特性
NTTは25日、生成人工知能(AI)の基盤となる独自の大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi(ツヅミ)」の商用提供を始めたと発表した。性能指標となるパラメーター数が約70億と軽量で、パラメーター数が数千億規模のLLMでは難しいオンプレミス(自社保有)やプライベート(専用型)クラウド環境での利用が可能。社内に閉じたIT環境で機密情報を安全に扱え、日本語に強い特性を生かす。企業向けを中心に2027年度に1000億円の売り上げを目指す。
生成AI導入のコンサルティングからデータセンターなど利用環境の提供、導入支援まで一括提供する。
ツヅミの活用サービスとしての三つのソリューションを用意した。サービス業向けの「CX(顧客体験価値)ソリューション」は、人間に近い外見を持ち自然な振る舞いができるデジタルヒューマンを用いた店頭案内、コンタクトセンター(電話対応部門)の通話要約機能の高度化などを提供する。
リポートや申請書類作成を支援する業界別の「EX(従業員体験)ソリューション」、社内ITセキュリティー運用を自動化する「CRX(事業継続性強化)ソリューション」も用意した。価格はいずれも個別見積もり。
同日会見したNTTの島田明社長は「23年11月のツヅミ発表後、ヤマト運輸や福井県など500件以上の導入相談があった」と説明。この18%が製造業、14%が自治体、12%が金融業からと機密性の高い情報を扱う業界からの相談が多かった。導入相談全体の63%が自社の環境で安全に機密情報を学習させたい意向を示している。軽量でオンプレミス環境に導入でき、個別対応も容易なツヅミでこうした企業向けの需要を取り込む。
日刊工業新聞 2024年03月26日