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「携帯事業」減収底打ちか…ドコモ・KDDI・ソフトバンクの実を結び始めた〝経済圏〟強化

「携帯事業」減収底打ちか…ドコモ・KDDI・ソフトバンクの実を結び始めた〝経済圏〟強化

KDDIはローソンへの出資比率を引き上げる。(右から)高橋誠社長、竹増貞信ローソン社長、中西勝也三菱商事社長

携帯通信3社の2023年4―12月期連結決算は、2社が増収営業増益だった。ソフトバンクも前年同期の特殊要因の影響を除けば約7%の営業増益となった。21年ごろから携帯通信料金値下げの影響が続いていたが、通信ARPU(利用者1人当たりの平均収入)が4000円程度で下げ止まりつつある。小売り、金融など非通信領域への積極的な投資で自社の“経済圏”を強化し、通信・非通信を含めた総合ARPUを増やす成長戦略が実を結び始めた。

携帯通信3社 2023年4-12月期

「通信料値下げの影響で減収トレンドが3年間続くと覚悟していたが、2年半で抜け出すことができた」―。ソフトバンクの宮川潤一社長は、携帯通信事業の減収傾向が底打ちしたとの認識を示す。

携帯通信大手は21年以降、通信料金引き下げを推進する政府の政策を踏まえ、従来より安価な新料金プランを導入。この影響で各社の通信ARPUは右肩下がりの傾向にあった。ソフトバンクの携帯通信事業の売上高も21年7―9月期の前年同期比280億円減をピークに前年同期比マイナスが続いてきたが、「23年10―12月にプラスに転じた。24年3月期通期でも増収に転じる見通しだ」(宮川社長)。

KDDIはデータ通信を多く使いたい顧客のニーズを使い放題や中・大容量のプランで取り込み、通信ARPUにID数をかけ算した通信ARPU収入が24年1―3月期に前年同期比で増加に転じる見込み。通信に金融などの付加価値サービスを合わせた総合ARPUにID数をかけ算した総合ARPU収入も23年10―12月期に前年同期比51億円増の4924億円と、プラス基調を続けている。

「通信と付加価値の両輪で取り組みを推進し、総合ARPU収入を最大化する」(高橋誠社長)目標の実現に向け、4月にもコンビニエンスストア大手ローソンに5000億円規模のTOB(株式公開買い付け)を実施し、出資比率を50%に引き上げる。

NTTドコモは23年7月に投入した低料金プラン「irumo(イルモ)」の影響で消費者向け通信部門の売上高は微増収にとどまった。一方でスマートフォン決済「d払い」やクレジットカード「dカード」などの金融・決済取扱高は23年4―12月期に前年同期比約20%増の9兆7500億円と順調に伸びている。連結子会社化したマネックス証券と連携し、d払いアプリケーション上に証券口座開設の導線を設置するなどの施策で顧客基盤の拡大を図る。

日刊工業新聞 2024年2月13日

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