将来の社長輩出も…公募型で役員候補育成、NTTが新設した制度の仕組み
NTTは40歳程度の社員らを将来の役員候補として育てる公募型育成制度を新設した。最大で3年間にわたって海外赴任などの経験を積み、変化の激しい環境でも成果を出せるよう経営の資質を養う。デジタル人材の獲得競争が激しさを増す中、優れた役員候補をグループ内で育成し確保する。第1期生として各事業会社から計126人を選考しており、将来の社長を輩出する可能性もある。
役員候補の育成制度は「NTTユニバーシティ・フューチャーエグゼクティブコース(FEX)」。対象は、応募時点で現在の職務の在籍年数が1年を超える管理職。自身が所属する事業会社に応募しリポート提出や面談、現職での活躍状況による選考を経て参加できる。年齢や年次は不問だが、第1期生の平均年齢は42歳。最も若い参加者は36歳だった。
募集枠は「海外赴任でグローバルな職務」「所属する事業会社グループ外での職務」「所属する事業会社グループ内での職務」の三つで、それぞれ約40人募集した。各職務で重要な経営課題を解決するためのポストを用意する。課題解決のために人と組織を動かす具体策の実現を通して経営幹部候補としての成長を促す。
社外のセミナーや研修への参加といったサポートプログラムもある。3年目にはグループ内の主要会社役員とのメンタリング、論文の作成や発表なども予定している。
国内の大企業で年功序列型からの脱却が進む中、NTTは2021年10月に職務の内容に応じて従業員を処遇する「ジョブ型」の人事制度を管理職に導入。23年4月からは専門性を重視した人事制度も一般社員向けに導入した。
一方で、多様な経営人材を輩出するための支援プログラム「NTTユニバーシティ」も創設。22年4月に、5年以内の役員登用が期待される人材向けの育成制度「NTTユニバーシティ・ネクストエグゼクティブコース(NEX)」を始めていた。現在までに186人が参加し、8人が役員となった。平均年齢は49歳。
NEXはFEXの上位の制度という位置付けで、FEXを設けることでミドルからシニア世代の社員を一気通貫で育成する。FEX参加者は次の段階としてNEXへの参加を目指すことになる。