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東レ、RO膜の耐薬品性2倍に…水の品質悪化を50%抑制

東レ、RO膜の耐薬品性2倍に…水の品質悪化を50%抑制

RO膜を用いたろ過のデモ

東レは21日、膜の洗浄時の薬品に対する耐久性を従来比2倍に向上した高耐久逆浸透(RO)膜を開発したと発表した。工場廃水の再利用や下水処理など高頻度でRO膜の薬品洗浄が必要な条件において、交換頻度の半減や交換・廃棄に伴う二酸化炭素(CO2)排出量の削減が見込める。市場が急拡大する中国で2024年上期の発売を目指し、現地での量産を準備中だ。

東レリサーチセンター(東京都中央区)が持つ原子配列を直接観察できる最先端の構造解析技術と、データ解析技術を融合した。RO膜の分離機能層を構成する架橋芳香族ポリアミドの、1ナノメートル(ナノは10億分の1)以下の微少な孔構造を定量的に解析。これに基づき、洗浄薬品に接触した際の孔構造の安定化に寄与する部分構造を見いだした。その上で製造プロセスを改善し、安定的な孔構造を有するRO膜を創出した。

過酷な薬品洗浄条件を模擬した廃水再利用プラントで今回開発したRO膜を用いた運転試験を行った結果、得られる水の品質悪化を50%抑制する効果を確認した。


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日刊工業新聞 2024年03月22日

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