東レが米日韓で臨床試験、がん治療薬「TRK-950」とは?
東レは30日、固形がんに対する治療薬として独自に開発を進めている「TRK―950」について、胃がん患者を対象とした第2相臨床試験を米国、日本、韓国の3カ国での国際共同比較試験として始めると発表した。TRK―950は東レが見いだした新規がん治療標的Caprin―1を目印として、がん細胞に結合し、これを攻撃するモノクローナル抗体製剤。
Caprin―1は胃がんなど大部分の固形がんの細胞膜表面に多く発現している一方、正常組織の細胞膜表面にはほとんど発現していない。また、がんの転移や再発の原因である転移性がん細胞や、がん幹細胞の細胞膜表面にも多く発現していることから、副作用が少なく、がん細胞の増殖、転移・再発を抑制する効果が期待される。
2017年以降、米国、日本などで第1相、第1b相臨床試験を実施し、のべ155例のがん患者に対するTRK―950の投与実績が得られた。胃がん以外のがん種においても、TRK―950を併用投与することで効果が得られた複数症例があり、各がん種への拡大を目指した開発も継続していく。
日刊工業新聞 2023年08月31日