ピックアップトラック「D-MAX」HV・EV、いすゞ自動車がタイ投入の勝算
いすゞ自動車はピックアップトラック(LCV)「D―MAX」のハイブリッド車(HV)を開発し、4月をめどにタイ市場に投入する。2026年には電気自動車(EV)モデルも発売する。タイ政府は30年までに自動車総生産台数に占めるEV比率を30%に引き上げる目標を掲げるなど電動車の普及が期待できる。主力のディーゼルエンジンに加え、HV、EVとパワートレーン(駆動装置)の選択肢を広げ、多様化する需要を取り込む考えだ。
いすゞが開発するD―MAXのHVは、モーターが発進時にエンジンをアシストして燃料消費を抑える簡易型ハイブリッドシステム(マイルドハイブリッド)を搭載。排気量1900ccのディーゼルエンジンと組み合わせる。タイのゲートウェイ工場(チャチューンサオ県)でHVを生産する計画。タイ国内での販売動向を見てから輸出を検討する。
26年にはD―MAXのEVモデルもタイ市場に投入する。ただ充電インフラの整備や価格などが足かせとなり、当面はディーゼル車が主流とみる。
D―MAXはいすゞのグローバル戦略車としてアジア、欧州、中東、アフリカ、中南米、オセアニアなど世界120カ国以上で販売されている。23年3月期のグローバル販売台数は41万7000台。特に1トン積みピックアップトラック最大市場のタイでは、20年から4年連続シェア首位を達成している。
タイのLCV市場ではいすゞとトヨタ自動車がシェア首位を争う。トヨタは「ハイラックス」のEVモデルの少量生産を始めており、24年にも同国パタヤで実証する予定という。またハイラックスには、48ボルトのバッテリーを用いた簡易型ハイブリッドシステム搭載モデルも設定し、24年半ばに欧州市場向けに発売する計画だ。
調査会社マーケッツアンドマーケッツの情報サービス「ナレッジストア」の調査資料では、タイのEV市場は30年に23年比6・5倍の7万1000台になると予想している。EVの輸入関税の引き下げと政府によるEV購入者への補助金により、今後数年間でEV市場が急激に成長する見通しという。