楽天がAIで技術革新生み出す、全社員3.2万人に研修
楽天グループは今月から、国内の本社に勤務する全社員を対象に人工知能(AI)の基礎を学ぶeラーニング研修を始めた。今後、グループ企業や海外法人を含む全社員約3万2000人も対象とする見込み。同社はAI活用による生産性向上プロジェクトを始動。生成AIを用いたサービス開発も進んでいる。技術系社員とそれ以外の社員との間で知識の壁をなくすことによりAIを用いた新しいイノベーション(革新)を生み出す土壌を作る。
生成AIや大規模言語モデルなどAIの基礎知識を学べるeラーニングプログラムを自社開発した。パソコン画面上に映し出されたクイズに正解しなかった場合、そのクイズの解答を理解するための学習ができる仕組み。学習時間は正解数によって異なり、30分から3時間程度。今後は外部企業とも連携しながら第2弾、第3弾のAI学習用eラーニング研修プログラムを作成する計画だ。
楽天グループはAIを駆使してマーケティングとオペレーション(業務手順)、電子商取引(EC)サイト「楽天市場」出店者の効率を20%引き上げる「トリプル20」プロジェクトを始動した。楽天市場だけでなく、楽天証券や楽天トラベル、楽天生命などでもAIを用いた業務効率化や新サービスの導入が進む。米オープンAIの協力を受け、営業や戦略策定、システム開発などを支援するAI基盤「楽天AI・フォー・ビジネス」の本格提供も控えている。
楽天グループは2010年に英語の公用語化を宣言。ビジネス会話に支障のないレベルの英語力を社員に求めたことで日本語の枠を超えた社内コミュニケーションを加速し、国際化に対応できる社内風土を生み出した。AIでも知識の壁をなくし、非技術系の社員もAIを一定程度理解できるようにすることでイノベーションを生み出す社内基盤を築く。
社内向けAI研修では、サイバーエージェントが23年11月から実施し、全執行役員を含む約6200人が受講した。LINEヤフーはグループ企業向けに企業内大学を通じてAIの活用方法を学べる「AI活用アカデミア」を提供し、計5400人が受講している。