ニュースイッチ

二次電池スラリー向け、クボタ・栗本鉄工が連続生産システム開発

二次電池スラリー向け、クボタ・栗本鉄工が連続生産システム開発

クボタと栗本鉄工所が共同開発する電極スラリー向け連続式生産システム(イメージ)

クボタと栗本鉄工所はリチウムイオン電池(LiB)など二次電池の原料となる電極スラリー向けに、連続式の生産システムを共同開発する。クボタの重量式フィーダー(原料供給装置)と栗本鉄工所の2軸混練機を組み合わせたシステムを構築する。これにより開発スピードの向上と電池メーカーへの提案力強化につなげる。電気自動車(EV)の普及が進む欧州や米国、アジアへの市場投入を視野に入れる。

両社はこのほど、約2年間の共同研究開発契約を締結した。今後、電極スラリーの原料の特性に合わせた装置の設計や、金属の異物が混入しない設備内部の材質などを共同で開発する。クボタが2022年に買収したフィーダーメーカー、独クボタブラベンダーテクノロジーとも協力する。

開発した製品をどのような販路で市場投入するかは未定。栗本鉄工所の混練機の生産拠点は国内のみであることから、海外にあるクボタブラベンダーテクノロジーの拠点などを活用し展開することも検討する。

電極スラリーは電極材やバインダーなど複数の原料で構成する。特性が異なる原料を適切な配合比で安定して供給できる技術や、できるだけ性状を変化させることなく均一に混練させる技術が電池の性能を左右する。

クボタの重量式フィーダーは、0・1秒単位でスクリュー回転数を制御できる独自のプログラミングソフトを搭載するなど、原料を定流量供給できることが強み。一方、栗本鉄工所の2軸混練機は、主流のバッチ式より混練時間を約10分の1に抑えた上で多種多様な材料を均一に混練できるメリットがある。

EV化の流れによる二次電池の需要増に伴い、現在主流のバッチ式に比べて省スペース化が可能で、生産性に優れる連続式生産の導入が今後加速するとみられる。

日刊工業新聞 2024年2月20日

編集部のおすすめ