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年1000台以上…災害・事故の破損車再生、SPECのビジネスモデル

年1000台以上…災害・事故の破損車再生、SPECのビジネスモデル

損傷した車を再生する作業(宮城県富谷市の本社工場)

SPEC(宮城県富谷市、菅原大城社長)は、自然災害や事故などで破損した車を自社で買い取り再生し、新たに流通させる事業に注力する。2011年に菅原社長が板金・修理などのチームを組んで創業した。当時、中古車オークション会社で働いていた菅原社長。「再生した車を流通させたらおもしろそう」と考えたのが起業のきっかけという。現在、車両流通台数は月間100台以上、年間で1000台以上の実績になっている。

同社が掲げる自然災害や事故などで破損した車の「再生流通業」。調達に関しては損害保険会社などを通じた仕入れルートを構築した。自社工場までの輸送コストなども考慮し、東日本地域を主力に調達できるようにしている。ドアなど損傷部分に応じた部材・部品調達では、解体業者とのネットワークも構築した。破損した車そのもの、そして解体された車の部材・部品にしても「使えるモノは使っていく」(菅原社長)のがSPECの方針だ。

社債発行の記念楯を持つSPECの菅原社長(中央)

当然ながら再生した車は、修復履歴を持ったことを前提に買い取ってもらう。買い取り先は「プロの業者」で、買い取られた再生車はプロ向けのオークションなどによって流通していく。再生車は一般の中古車よりも安価に取得できる利点がある。外車や高級車の再生需要もあるほか、一部の車種については、輸出するケースもある。菅原社長は「再生車の需要は確かにある」とし、このビジネスの役割を実感している。

こうした事業展開に賛同した七十七銀行は、23年11月に同行100%保証でSPECが発行する無担保社債を受託・引き受けた。期間は5年間。金額は5000万円で、長期の運転資金に充てる。電気自動車(EV)などに対応するシステムにも活用していく。

今後の方向性としては、自然災害の中でも特に水害による損傷車の再生に力を入れていく考えを持つ。水につかった車の再生は「まだ手探りのところもあるが、データが蓄積されつつある」(菅原社長)。SPECの挑戦はまだまだ続く。

日刊工業新聞 2024年02月16日

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