食物繊維でアレルギー抑制、東京理科大が実証
東京理科大学の西山千春教授らは、食物繊維がアレルギー反応の抑制に有効であることを分子レベルで実証した。腸内細菌により食物繊維から作られる短鎖脂肪酸がアレルギーを抑制するメカニズムを解明した。短鎖脂肪酸は生理活性物質プロスタグランジン(PG)の産生を促進し、アナフィラキシーを改善する。頭痛薬などに広く使われている非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)がこの改善効果を阻害することも分かった。アレルギー患者の食事内容の見直しや提案に役立つ。
研究グループは、短鎖脂肪酸を4―6日間経口摂取したマウスはアナフィラキシーが抑制されることを見いだした。また、免疫細胞を短鎖脂肪酸とともに培養すると、抗原の体内侵入時に産生されアレルギー反応を起こすIgE抗体による活性化が抑えられた。
遺伝子などを解析した結果、短鎖脂肪酸の作用機構に二つの経路が関与することを発見。短鎖脂肪酸が受容体GPR109Aを介してPG産生を促進することで免疫細胞の活性化を抑制し、アナフィラキシーを抑えることを明らかにした。
また、ビタミンB群の一種ナイアシンでも短鎖脂肪酸と同様のアナフィラキシー改善効果が見られた。GPR109Aはナイアシン類の受容体でもあり、結合によりPG産生を促す。PG合成を阻害するNSAIDsがこれらの効果を妨げることも実験で示された。
日刊工業新聞 2024年02月05日