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アレルギー性皮膚炎、バラの香り成分が抑制

「自己免疫疾患」治療に期待
アレルギー性皮膚炎、バラの香り成分が抑制

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東京理科大学の西山千春教授らは、バラの香り成分がアレルギー性皮膚炎を抑えることをマウス実験で明らかにした。ヒトのアレルギー性接触皮膚炎の研究に使われるモデルマウスを準備。バラの香りの主成分である「βダマスコン」を同マウスに経口投与したところ、皮膚炎の病態が改善した。自分の免疫細胞が自分の体を攻撃する「自己免疫疾患」の新しい治療法の開発につながるとみられる。

成果は科学技術・医学に関する国際学術誌電子版に掲載された。

樹状細胞は免疫において重要だが、過剰に反応すると炎症や免疫疾患につながることが知られている。約150種類の香料化合物から樹状細胞の免疫抑制物質の候補化合物を探索。その中で、βダマスコンが樹状細胞やT細胞などの免疫細胞の働きを抑えられることが分かった。

さらに樹状細胞内にあり生体内の防御遺伝子の発現を促すたんぱく質「NRF2」がβダマスコンにより増えることを突き止めた。NRF2を持たないマウスにβダマスコンを投与しても皮膚炎の改善効果が見られなかったことから、樹状細胞内のNRF2の活性が免疫反応と関わっていることを示した。

日刊工業新聞2023年2月22日

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