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強度・精度向上…ネツレンが開発、世界的に例がない鋼材接合技術

強度・精度向上…ネツレンが開発、世界的に例がない鋼材接合技術

ネツレンは異鋼種で、複雑形状を持つ鋼球と土台の接合を実証した

異鋼種・複雑形状に適用

ネツレンは九州大学の高木節雄名誉教授の指導を受け、高周波加熱技術と鉄鋼の材料特性を融合した接合技術「ネツレンMB工法」を開発した。接合サイクルの基本作業のみで、従来工法より強度や寸法精度を高め、バリなども少ないため後工程のコストを圧縮できる。軸受鋼と炭素鋼の組み合わせなど異鋼種や異径鉄筋、複雑形状を接合できる。油井管関連や機械部品メーカーなどに提案し数年内の本格採用を目指す。

ネツレンMB工法は鋳鉄や非鉄金属に適用できないが、炭素鋼や合金鋼、ステンレス鋼などを接合できる。設備に部材をセットし接合面同士を密着させた後に加熱、冷却することで、接合部にロウ付け部を発生させず、寸法精度を高められる。

自動車・建機部品などで接合する際は従来、ロウ付けや溶接、摩擦圧接を行ってきた。ただロウ付けなどは接合部の強度低下、接合時のバリ取りの手間や費用を要し、熟練作業がいるなどの課題があったが、ネツレンMB工法はこれらを解消する。

ネツレンは複雑形状の接合として高炭素クロム軸受鋼のSUJ2製の鋼球と機械構造用炭素鋼のS45C製の土台の接合を実現。オーステナイト系ステンレス鋼のSUS304製のパイプとクロムモリブデン合金鋼のSCM440製のシャフトの接合では、内径にバリのない中空部材を実現した。

同社はこうした接合技術は世界的に例がないとし、大宮克己社長は「今後ニーズ探索を本格化する」とマーケティング活動を強化する方針を示している。

日刊工業新聞 2024年01月25日

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