ニュースイッチ

「アラミド」長繊維に再生、帝人が技術確立へ

帝人は使用済みのアラミド長繊維を再び長繊維に戻す「フィジカルリサイクル」技術について、2025年をめどに確立する方針。帝人は長年、アラミド繊維をすりつぶしてパルプ状にする「メカニカルリサイクル」に取り組んでおり、新技術の確立でリサイクル方法を増やし用途を広げる。使用済み原料の確保については完成品メーカーなどと連携し、相対的にリサイクルが難しいアラミド繊維のサーキュラーエコノミー(循環経済)を実現する。

このたびオランダのテイジン・アラミドにおいて、リサイクル長繊維のパイロット生産に成功した。最終製品に用いられた使用済み繊維を短く切断し、さらに細かく刻んでバージン原料と合わせて硫酸で溶融し紡糸した。24年度は本格展開に向けてスケールアップを予定する。

リサイクルに必要となる使用済み原料の確保については、完成品メーカーやユーザーと連携する。使用済み製品からアラミド繊維を取り出す例として、タイヤについてはゴムなどが混ざり、取り出しにくいとされる。一方、防弾チョッキや光ファイバーの補強材からは、きれいに取り出せる。帝人は「顧客とアライアンスを組み(そこを)重点的に集めてリサイクルする。すでに少量で始めており、段階的に(規模を)大きくしたい」(内川哲茂社長)という。

テイジン・アラミドは自社製品において20年以上にわたり、パラ系アラミド「トワロン」長繊維をパルプ状にリサイクルし、再利用する取り組みを行ってきた。


【関連記事】 韓国が絶対に勝てない異色の技術集団とは?
日刊工業新聞 2024年01月23日

編集部のおすすめ