燃料電池用ガス拡散層の薄さ半分、実現した帝人の独自技術
帝人は、厚さ50マイクロメートル(マイクロは100万分の1)と業界最薄クラスの燃料電池用ガス拡散層(GDL)を開発した。極細の繊維状炭素を独自の紙すき技術でパラ系アラミド繊維と組み合わせた構造。従来の炭素繊維シートのように撥水(はっすい)性のマイクロポーラス層(MPL)を付与する必要がないため、薄くて低コストにできる。新GDLにより燃料電池の小型化・高性能化とともに、これを用いた新たな電極膜の共同開発につなげる。
GDLは燃料電池の電極の化学反応で生じた電子の集電や生成水の排出を担う部材。今回、繊維が長く、高い結晶性の繊維状炭素「ポテンシア」と、アラミド繊維「トワロン」を少ない製造工程で組み合わせた微多孔構造のGDLを開発した。
ポテンシアの導電性と柔軟性により燃料電池内の触媒層を傷つけない。トワロンにより撥水加工が落ちづらくなるのも特徴。これにより炭素繊維シートのGDLで付加するMPLが不要にでき、従来の約半分の薄さを実現する。
日刊工業新聞 2023年03月14日