ニュースイッチ

「深刻な危機」にある帝人、300億円以上の収益改善計画で目指す姿

帝人は8日、2024年3月期に300億円以上の事業収益の改善計画を実行し、新中期経営計画(3カ年)を25年3月期開始に延期すると発表した。現中計の最終年度となる23年3月期連結業績見通しで、過去最低水準となる営業利益100億円に下方修正するなど、内川哲茂社長は「外部環境などの要因はあるが深刻な危機だ」と判断し、収益改善を優先する。複合成形材料とアラミド、ヘルスケアの3事業を重点に改善するほか、経営判断を迅速化する経営体制に変革する。

マテリアル事業の収益悪化により、現中計の総括として財務目標値がいずれも未達で抜本的な収益性改善が必須とした。これを達成した上で24年度からの中計を開始する。

改善策で複合成形材料では投資の絞り込みや低採算プログラムの撤退などを実施し、130億円の営業利益改善を目指す。改善が見られない場合は事業売却を含めて継続是非を検討する。アラミドでは工場火災からの早期回復や生産安定化を進めて改善策で70億円を創出。ヘルスケアでは在宅医療機器の事業基盤を希少疾患・難病領域などの医薬品に活用するほか、抜本的な固定費削減を実行する。

経営体制の変革では現行30人の執行役員・理事を執行役員15人体制に移行。マテリアルとヘルスケアの事業統括制を廃止し、各事業本部を最高経営責任者の直轄としてフラット化する。

日刊工業新聞 2023年2月9日

編集部のおすすめ