光デバイス生産1.5倍、DC向け世界シェア首位・三菱電機が競合引き離す
三菱電機は2024年度に光デバイスの生産能力を現状比で1・5倍に引き上げる。高周波光デバイス製作所(兵庫県伊丹市)と、関係会社の工場で生産ラインを増強する。米IT大手などのデータセンター(DC)向けが極めて好調で、旺盛な需要を積極的に取り込む。DC向け光デバイスで世界シェア首位の同社は、生産能力を高めて世界の競合を引き離す。
高周波光デバイス製作所では得意とする化合物半導体技術などを生かし、光デバイスのほか、高周波デバイスなどを生産している。顧客企業や市場の要望に対応可能な高い製品開発力で競争力を維持している。
光デバイスの売り上げは非公表だが、半導体・デバイス事業の売上高は23年3月期に2815億円を計上した。このうち光デバイスは数百億円規模とみられる。同事業は26年3月期に3000億円の売り上げ目標を掲げている。
DCをめぐってはオンプレミス(自社保有)型からクラウド型への移行が本格化している。また世界的なクラウドサービスの拡充に伴い、米IT大手を中心に今後も堅調な需要が見込まれる。さらに生成人工知能(AI)ブームも追い風となっており、より高い計算能力と速い計算速度を備えたAIサーバーの需要も急増している。
今後は通信の大容量化や高速化が求められるほか、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の達成に向け、光デバイスの低消費電力化も不可欠になる。特に学習や運用で多くの電力を消費する生成AIの拡大により、DCの電力使用量は省エネ対策をしなければ40年に現在の6倍まで拡大するとされる。
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日刊工業新聞 2024年01月12日