半導体ウエハー向け無電解メッキ装置開発、奥野製薬工業が取り入れた薬品メーカーの視点
UBM形成、膜厚均一
奥野製薬工業(大阪市中央区、奥野和義社長)は、半導体ウエハー向けの全自動無電解メッキ装置「トライザELシステム」を開発し、販売を始めた。車載用途などのパワー半導体の電極部分に、ニッケルメッキを施すアンダー・バンプ・メタル(UBM)形成用で、膜厚の均一性に優れる。価格は個別見積もり。同社の装置や薬品によるUBM形成では、400度Cの熱処理後でも皮膜がひび割れにくく、接合信頼性を確保できる。
6、8、12インチのウエハーに対応する。ウエハーを25枚納めるバケットを2列備え、一度に50枚を加工可能。月産1万枚以上を見込む。装置の寸法は幅約3×長さ約13×高さ約2・5メートル。
自動で開閉するふたを搭載し、薬液に不純物が混入するのを防ぐほか、高温を保つこともできる。クリーンルームの清浄度はクラス1000に対応する。
奥野製薬工業はメッキ薬品・表面処理薬品などを手がける。装飾用途に強みを持つが、近年は環境負荷の軽減などを背景に需要が減っており、半導体分野の強化を急ぐ。
同社の西城信吾執行役員はトライザELシステムを「薬品メーカーの視点が入った装置」と説明し、薬品の性能を最大限に発揮できるよう工夫したとする。各種薬品と装置、プロセスの組み合わせで訴求力を高める狙い。今後は電解メッキ装置の開発によるラインアップ拡充も検討する。
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日刊工業新聞 2024年01月11日