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丸紅・三井物産・三菱商事…大手商社が「銅」事業拡大の背景

丸紅・三井物産・三菱商事…大手商社が「銅」事業拡大の背景

丸紅などが事業拡張を決定したチリ・センチネラ銅鉱山のプラント(丸紅提供)

大手商社が電気自動車(EV)などに使う銅事業を拡充する動きが広がっている。丸紅はチリの2カ所の銅鉱山開発への追加投資を決定し、銅の取扱量を増やす。三井物産コマツとの共同出資会社を統合し、銅鉱石の採掘から輸送までカバーする鉱山機械の販売会社をペルーで発足する。再生可能エネルギーのインフラにも使う銅事業を強化し、カーボンニュートラル(CN、温室効果ガス排出量実質ゼロ)関連の需要を取り込む。(編集委員・田中明夫)

丸紅は30%の権益を持つチリのセンチネラ銅鉱山で、鉱石処理能力を日量9万5000トン追加して現状比2倍にする。70%の権益を持つ英国銅大手アントファガスタと共同開発し、2027年に拡張した設備での生産開始を予定する。

また丸紅はチリのロスペランブレス銅鉱山の権益3・27%をJX金属から取得し、丸紅持ち分を12・48%に引き上げる。さらに銅の製錬・販売会社パンパシフィック・カッパー(PPC、東京都港区)の株式20%もJX金属から145億円で取得する。丸紅の土屋大介執行役員金属本部長は「PPCの販売網を組み合わせてアジア圏での販売力を強化する」と説明する。

三井物産はこのほどペルーで銅鉱石の採掘機械などを販売するコマツ傘下のコマツ・マイニング・コープ・ペルー(KMCP)の株式を60%取得した。24年中にはコマツとの共同出資会社で鉱山用大型トラックなどを販売するコマツ・ミツイ・マキナリアス・ペルー(KMMP)とKMCPを合併させて三井物産が引き続き株式60%を保有する。「(2社の)販売・サービスを一体化させて鉱山機械の安定稼働を支える」(三井物産)とする。

三菱商事は22年に40%の権益を持つペルーのケジャベコ銅鉱山で銅精鉱の生産を開始。23年にはチリのマリマカ銅鉱山の開発に新規参画する方針を打ち出した。

国際エネルギー機関(IEA)によると50年にCNを実現するシナリオでは銅需要が21年比1・6倍に増加する見通し。一方、既存鉱山の銅品位や生産量の低下に加え、鉱山所在地のへき地化などにより「新規鉱山の開発難易度が高まりつつある」(丸紅の土屋執行役員)とされ、優良案件の獲得競争が活発化しそうだ。

日刊工業新聞 2024年01月10日

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