ペロブスカイト太陽電池の部材向け想定… 丸紅ケミックスが投入する「低融点ハンダ」の特徴
丸紅ケミックス(東京都千代田区、衣畑雅寿社長)は、アートビーム(東京都八王子市)が開発した鉛フリー低融点ハンダの販売に乗り出す。低い融点など環境に優しい点や、多様な素材に接着できる点が特徴。ペロブスカイト太陽電池の部材向けなどを想定する。アートビームによるハンダ手法の提供も用意し、初年度10件の受注獲得を目指す。
丸紅ケミックスが販売する「低温線ハンダ」は環境に優しい鉛フリーで、ビスマスも使わない。一般的なハンダ製品の150度C程度と比べ、119度Cという低融点を実現する。融点が低いことで、省エネルギーによるカーボンニュートラル(温室効果ガス〈GHG〉排出量実質ゼロ)に貢献できる。
アートビームが持つ精密板金加工技術のノウハウなどを基に開発した。フラックスを使わずに、金属のみならず、アルミナやガラス、樹脂など多様な素材に対して接着できる点も特徴だ。1000時間以上の温湿度サイクルテストを実施し、環境耐性も確認した。
丸紅ケミックスは同ハンダを、次世代の太陽電池として注目されるペロブスカイト太陽電池のPET基材向けにも活用できると見ている。また、半導体・電子材料なども対象と捉える。
同社親会社の丸紅は、2022年2月に公表した中期経営戦略「GC2024」でグリーン戦略を掲げている。この中で「グリーン事業の強化」と「全事業のグリーン化推進」を定めており、丸紅ケミックスも低温線ハンダを通じて環境負荷低減に貢献する考えだ。
日刊工業新聞 2023年11月03日