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NITTAN・小糸製作所…米の人材不足深刻化、自動車部品メーカーが対策に奔走

NITTAN・小糸製作所…米の人材不足深刻化、自動車部品メーカーが対策に奔走

※イメージ

NITTAN―南米移民採用/小糸―自動化を推進

米国に工場を置く自動車部品サプライヤーが、人件費高騰や人手不足といった労務問題に対し、新たな対策を取り始めた。NITTANは、工場で南米からの移民の採用を始めた。リーダー人材を含む数人を訓練し、働きぶりを確かめながら安定した労働力として増やす。小糸製作所はロボットや人工知能(AI)を活用した、自動化ラインの導入にかじを切る。完成車メーカーの生産が回復する中、サプライヤーの利益を圧迫する問題に対策を講じ、早期の業績回復を目指す。

米国では各種ローン金利の上昇やインフレを背景に、2023年に全米自動車労働組合(UAW)がストライキを起こし、米自動車大手3社から賃上げなどの労働条件引き上げを獲得した。日本車メーカーの工場はUAWに加盟していないが、トヨタ自動車日産自動車ホンダの3社も米国で賃上げを決めた。

UAWのストライキに伴い、部品サプライヤーにも「賃金上昇圧力の波及がある」(保田真成テイ・エステック社長)という。また人手不足や定着率の低さも懸案だ。小糸製作所の加藤充明社長は「コロナ禍を経て製造業で働く人が減っており、高い賃金を払って州外から雇わざるを得ない」と指摘。NITTANの李太煥社長は「採用してもすぐ辞める状況が繰り返されており、米国の社会問題とも言える」と打ち明ける。

そこでNITTANは米国外の拠点から人員を派遣しているほか、代替生産も行っている。また、南米からの移民を採用する新たな試みを始めた。言語の違いもあるため、まずはリーダー人材と、リーダーが指導する数人を雇用して訓練する。軌道に乗れば数十人まで拡充する。

一方、小糸製作所は工場内物流の自動化、AIカメラによる検査の無人化、組み立て作業のロボット化などを検討する。加藤社長は「米国はAIやデジタル化を駆使した、人に頼らないモノづくりを一日も早く実現する」と説明する。生産の自動化は日本国内の工場がリードしていたが、今後は市場が大きく、生産量の伸びが期待できる米国工場で合理化を進め、投資効果を創出する考えだ。

TPRは「生産を維持するため賃金を上げる。並行して賃金上昇分は製品価格に反映していく」(矢野和美社長)という。このほか、別の部品メーカー幹部も「完成車メーカーは賃上げに応じており、価格転嫁を交渉できる環境は整いつつある」としており、労務費の転嫁に関する交渉も本格化するとみられる。


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日刊工業新聞 2024年01月05日

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