風力発電用「レンズ風車」の部材製造、テックラボがCFRP加工の新工場
テックラボ(東京都多摩市、尾崎毅志最高経営責任者〈CEO〉)は、宮城県登米市に炭素繊維強化プラスチック(CFRP)加工の新工場を設立した。風力発電用「レンズ風車」の部材を製造する。レーシングカー部品などで培ったCFRPの加工技術を生かし、低コストで軽く丈夫な羽根などを製造する。2024年初頭の本格稼働を予定する。
完全子会社の横浜化工建設(宮城県登米市)の敷地内に建設した。建物面積は約200平方メートル、建屋への投資額は3500万円。
風車を設計・開発する九州大学発スタートアップのリアムウィンド(福岡市早良区)から受注し、直径約26メートルのレンズ風車のブレードと呼ばれる羽根や円形のディフューザーを製造する。これらを組み込んだ風車は24年度前半に実証機の設置を予定している。
レンズ風車はブレードを覆いで囲み、風を効率的に集める。同じローター径でレンズのない風車より数倍の出力を得られる。リアムウィンドによると、風車のブレードなどはガラス繊維強化プラスチック(GFRP)を使うことが多いが、CFRPにすることで軽量化を図れるという。
テックラボはCFRPを使った技術開発や設計、試作に特化したスタートアップ。炭素繊維は方向によって物理的特性が異なる「異方性」を備える。同社は必要な方向に特性を与え、不要な方向は省く技術に優れ、曲がりにくく、たわまないようにするといったノウハウを有する。近年は飛行ロボット(ドローン)のプロペラなどエアモビリティー分野の受注を拡大している。
日刊工業新聞 2023年12月28日