風力→熱に…エンジンの現象から着想、住宅暖房・給湯システム開発
ユタカ技研は主力製品のトルクコンバーター(トルコン)で培った技術や流体力学の知見を活用し、風力を熱に換えて住宅の暖房や給湯に使う「風力発熱システム」を開発する。住宅の屋根に設置し、風を受けた風車の力で装置内部の熱媒体を撹拌(かくはん)。たまった摩擦熱を熱交換器で集めて利用する。既に北見工業大学との産学連携で実験を始めた。完成度を高め、2029年3月期中の発売を目指す。
風力発熱システムはトルコンがエンジンの動力をトランスミッション(変速機)に伝達する際に、力を伝えるオイルに摩擦熱が発生する現象から着想を得た。
トルコンと共通した構造や生産技術の応用を強く意識し、開発を進める。量産化の際には現有設備の使用を視野に入れている。
装置の重さは数十キログラムでソーラーパネル1枚程度と同等。発熱に必要な風速は毎秒3メートル程度で検討中。実験を重ねて、熱の回収効率や耐久性などの改良を進める。
ユタカ技研は「新価値商品」として、既存の自動車部品の技術を生かしながら新たな事業化の可能性を模索している。北見工大とはこうした活動の中で接点ができた。同大学からは風力発熱システム全体の構想や風車に関する知見の提供を受ける。
日刊工業新聞 2023年12月21日